惑星の位置から時刻を求める

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上の図において、惑星が位置Pにいるときの時刻の求め方を紹介する。前提として、惑星の軌道は分かっているものとする。方針としては、元期以降に惑星の動径が掃いた面積を求め、それを面積速度で割ることで元期からの時間の経過を計算する。図中の点Oは楕円と円の中心、点Fは楕円の焦点である。さらに、惑星は反時計回りに公転するものとする。以降、焦点距離OFをfと書く。簡単のために、元期において惑星は長半径上の位置Sにいたとする。また、惑星の公転周期をTとし、軌道の離心率をeとする。

考察

図において灰色で塗られた部分が、惑星の動径が掃いた面積にあたるので、これを求める。楕円の性質から、頂点FPSで囲まれた灰色の部分の面積は、頂点FQSで囲まれた部分の面積の \frac{b}{a}倍である。また、頂点FQSで囲まれた部分の面積は、扇型OQSから三角形OQFを引いたものである。そして、三角形OQFの二辺は長さがaとfであり、そのなす角はEなので、面積は \frac{1}{2}af \sin E。最後にEは( 0 \leq E \leq \piに限るなら)、 \cos^{-1}(\frac{OH}{OQ})で求まる。

逆にたどると、

  1. 角E =  \cos^{-1}(\frac{OH}{OQ})
  2. 三角形OQF =  \frac{1}{2}af\sin E
  3. 扇型OQS =  \frac{1}{2}a^{2}E
  4. 偏扇型FQS = 扇型OQS - 三角形OQF =   \frac{1}{2}a^{2}E - \frac{1}{2}af\sin E
  5. 偏扇型FPS =  \frac{b}{a} x 偏扇型FQS =  \frac{1}{2}abE - \frac{1}{2}bf\sin E

となる。つぎに、Eの条件を外して一般化する。

一般的な解法

図において原点O、水平x軸(右が正)、鉛直y軸(上が正)とする座標を導入し、その座標でPが(x, y)となるとする。 まず、角Eを正確に求める。

  • yが負の時

角E =  -\cos^{-1}(\frac{OH}{OQ}) =  -\cos^{-1}(\frac{y}{a})

  • yが正の時

角E =  \cos^{-1}(\frac{OH}{OQ}) =  \cos^{-1}(\frac{y}{a})

後の計算は場合分けが不要なので、一気に求める。

偏扇型FPS =  \frac{1}{2}abE - \frac{1}{2}bf\sin E =  \frac{1}{2}ab(E - e \sin E)

惑星の面積速度は \frac{ab\pi}{T}なので、元期からの時間差dTは

dT =  \frac{1}{2}ab(E - e  \sin E)  \frac{T}{ab\pi} =  \frac{E - e \sin E}{2\pi}T

と求まる。

余談

この記事で求めた式

dT =  \frac{1}{2}ab(E - e  \sin E)  \frac{T}{ab\pi} =  \frac{E - e \sin E}{2\pi}T

というのは、これはケプラーの方程式

 M = E - e \sin E

の時間項を移項したものである。